Koji memo(14) ISO 9000 が日本の品質を堕落させた(1)

バブル崩壊の長い暗いトンネルを抜けて、ようやくわが国の 製造業に活気が戻ってきた。これは単にリストラによって企業が 筋肉体質になってきたからだけではない。日本固有の現場の (ものづくり、コトづくり)知恵の重要性を再認識してきたから ではないか。
先日、8年ぶり位でトヨタの生産工場を見学してきた。藤本隆弘 氏のいう「すり合わせ技術」、(トヨタケーラムの新木廣海氏の 練り込み技術 も同義語と思われる)が、欧米や単に労務費の 安さで経済急成長を遂げている東アジア諸国では、真似のできな い強みであることを改めて実感した。
  欧米のような多言語、多民族国家でのしっかりとしたマニュアルが ないと仕事が進まない社会と違い、阿吽の呼吸で助け合う風土が 日本にはあった。それをヨーロッパの戦略にまんまとひっかかり ISO 9000 に踊らされたのは情けない。(ちなみにトヨタは ISO9000 は取得していない。 現場でISO14000 には取り組んでいる看板が でていたが・・・)
小宮山宏、松島克守の編纂された「動け日本」において、次の文章 がある(p17)。・・・ ハイテクに過度に期待するのはかえって危険 である。ハイテクは学習されやすい。製品と生産技術がドキュメント化 され、形式知になっている。後発も容易にキャッチアップできる。 従って、ハイテク製品は短期間でコモディティーになり、価格が急落 する。・・・・
ISO9000 は全てドキュメント化しマニュアル化による形式知にすることを 求めている。こんなことでは、世界に戦えない。 もちろん、PDCA サイクルにより、きちっと評価して次の改善につなげていく基本思想は 重要である。 必要条件ではあるが十分条件ではない。
欧米の物真似ではない、新木廣海氏のいう「和魂工才」により、わが国 の製造業およびエンジニアリング産業の復権を期待したい。
現在丁度ECOM(電子商取引推進協議会)のコラボレーション・エンジニ アリング委員会で、日本固有の「協創」について研究を進めている。 日本の製造業が自信を取り戻し、もっと元気になろうという強いメッセージ を発信するつもりである。